都議会議員選、大田区の結果をどのメディアも解説してくれないから私が解説する

6月22日投開票の都議会議員選挙についての論考です
境 治 2025.06.25
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地方選挙では選挙区ごとに報道しない大手メディア

都議会議員選挙の大手メディアの報道は大いに不満だった。大局的なことしか伝えず、選挙区個別の取材や解説はほぼなかった。

そもそも民放は都議会議員選挙の報道が少ない。キー局は全国向けの国政報道に夢中で東京の報道は薄い。あんたらは関東のローカル局でもあるのだから、夕方のローカル枠で報道しろよ。

NHKは18時台の「首都圏ネットワーク」で毎日都議会議員選挙を報道していたが、初日の党首演説の分析を連日やって、各選挙区の取材はない。

全然わかってない。視聴者の役に立つのは自分の選挙区の候補者がどんな人物かだ。ボートマッチで考えに近い候補者がわかるからいいでしょ、と言いたいのかもしれないが、投票は政策だけで決めるのではない。自分の選挙区の動向と、候補者の人となりが知りたいのだ。

NHKは例によって大河ドラマを前倒しにして開票速報を放送した。ジャーン!と示したのは空白だらけの当確予想だ。そんなの、20時ちょうどに見せられても何もわからんぞ。もっと埋まってから放送すればいい。つまり、大河はふだん通り放送し、21時からNスペ枠で放送すればいいのだ。都議会議員選挙の空っぽの開票速報を日本中で放送するなんてマヌケすぎるだろう。

思うに、NHKは「開票速報こそ命!」と思ってるんだろう。そして大局ばかり報道する。個別の選挙区を見ろよ、もっと。23時台にようやく当確が出揃ってきたが、選挙区ごとに解説しろよ。

だがマスコミはそんな気がないらしい。そこで、私がそんなに知らないなりに、我が大田区の結果だけ解説しよう。付け焼き刃の知識なのであまり当てにするなよ。

公明党2候補が落選する大番狂わせ!

大田区の選挙結果は、なんといっても磐石と思われた公明党の2人の候補者がいずれも落選したことだ。なんてこった!

勝亦聡さんと玉川英俊さんはいずれも当選一回とはいえ現職。揃って落ちるとは誰も想像してなかっただろう。この動画でも山本期日前という選挙芸人がこの2名は間違いないといっていた。

大田区では公明党が一定の支持層をずっと確保しており、選挙になると創価学会の人たちが個別にアプローチしてくる。さすがの組織力を示すので、そりゃあ落ちるはずがないと思っていた。これにまずびっくりだ。

得票数が高い藤田綾子さんは共産党で当選3回目で顔が知れていてこれこそ磐石。そして森愛さんは強い!確か前回トップ当選で、実は2023年の大田区長選挙に勢いに乗って立候補したが落選。でも自分の穴を埋める補選で結局はまた当選するという強さ。

この2人に加わる3強になったのが新人の福井悠太さんで、国民民主党。この人は演説なども慣れていなくて朴訥としたキャラも良かったのだろうけど、国民民主の強さがなんといってもバックボーンとなった。

3強に続くのが都民ファーストの新人荻野稔さん。この人はもちろん都ファだからというのもあるが、区議会議員時代からオタク政治家として名を馳せていた。時々、性的表現の問題で「表現の自由を守る」と主張しフェミに噛み付いて人気があったので、当選は当然だろう。

もう一人、最上佳則さんは参政党!今回、いくつかの選挙区で参政党が当選し、ゼロから3まで議席を獲得した。少々不気味に感じる。

そして自民党新人の湯本良太郎さんも当選。この人は長く区議会議員をやっていた。自民唯一の公認候補なので当選は当然だが、大田区独特の顛末があるのであとで解説する。

そして29歳の新人、立憲民主の桶屋誠人さんも当選!両親が離婚して母親に持て余され、祖父母が引き取ったがこちらも苦しい家庭で苦労して育ててもらった。東工大に入って今回立候補。生い立ちを聞くだけで応援したくなる。うちの子どもたちと同世代だ。当選して良かったな!

自民党の2人の鈴木の因縁、片方はセクハラ発言のあの男!

湯本さんの続きの、大田区自民党のややこしいストーリーを書いておきたい。これまでの大田区の自民党都議会議員には鈴木さんが2人登場してややこしかった。しかも鈴木晶雅さんと鈴木章浩さんで「すずきあき」まで同じ。どっちがどっちだっけ?とわからなくなる。

わかりやすいのが、鈴木章浩さんのほうが起こしたセクハラ発言。都議会議員だった2014年に、晩婚化支援策について発言中の塩村文夏議員(当時は都議会議員だった)に「早く結婚すればいいじゃないか!」とヤジを飛ばしてしまう。この声がテレビで報道され、誰が言ったのか話題になった。最初は否定しヤジを批判していたが、数日後に自分だと認めた。

めちゃくちゃカッコ悪い、潔くないとさらに話題になった。自民党を自ら離党したがその後復党し、2017年の選挙でも当選。ところが2021年の選挙では、晶雅さんは当選したが章浩さんは落選した。

先述の2023年の大田区長選挙に晶雅さんが立候補したので補選が行われて章浩さんはまた当選していた。なんとか議席の端っこにかじりついていたのが、自民党の裏金問題に引っかかり今回は公認を得られなかった。

そこで公認候補に担がれたのが先述の湯本さん。今回、湯本さんは当選したが章浩さんは落選してしまったというわけ。

他の選挙区では裏金問題で公認されなかったけど当選し、さっそく自民党に復党した人もいたが、章浩さんはダメだった。かじりついていたけど耐久力が足りなかった。

私はこの章浩さんと同い年で、セクハラ発言に当初はしらを切っていたのが情けなく、こんなやつは振るい落とされろと思っていたので、いい気味だ。11年経ってやっと決着ついた。

現職が多く落ち、新人が躍進した原因を解説するメディアはないのか?

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