2026年3月、放送は配信への移行が決定づけられたが、テレビの答えは見えていない

WBC配信を1455万人がほぼ同時に視聴した
2026年3月、地上波でまったく放送されないWBCが終わった。有料のNetflixが独占配信したからだ。3月25日に公開されたリリースで次のようなデータが発表された。

「視聴者数」とはどういう数字なのか明解ではない。「一人の人が一つ以上のデバイスで視聴した場合を含む延べ接触人数」とある。同じ人が電車でスマホで見て、帰宅してテレビで見たら「2人」とカウントされることになる。対オーストラリア戦の視聴者数1790万人にはこの重複が含まれる。

これを解釈する際、リリースにある視聴デバイスの割合が使える。テレビで85%、モバイルで38%視聴したとある。

スライド:筆者作成
足すと100%を超えるので23%が重複分と考えられる。1790万人を1.23で割ると実人数になる。計算すると1455万人。この数字が、一つの試合をほぼ同時に視聴した人数と言えるだろう。
2023年のWBCではもっとたくさんの人が見た。地上波で無料で見られればデジタルに不慣れなお年寄りが喜んだのは間違いないだろう。ただここでは、その是非について言及するつもりはない。
私がこの数字で驚いたのは、配信がここまで来た事実だ。放送は一対多、配信は一対一の集合。同じ内容を一度に多くの人に伝える最適の手法が放送である、配信は向かないと言われてきた。実際、これまで配信は同時に一定以上多数にコンテンツを運ぶと輻輳によりトラブルを起こすものだった。それが、1455万人に一度に配信してもトラブルは起きなかった。2022年のサッカーW杯のABEMAによるネット配信では視聴できない試合もあった。Netflixも実はスポーツライブ配信に最初に取り組んだ際、輻輳によりトラブルが起きている。
WBCでは克服したのだ。つまり、放送の配信に対する強みはなくなりつつある。もはや配信が劣るということはない。それが2026年3月の到達点だ。
BS4Kは終了へ、ラジオは再編へ、地上波テレビは1局2波も可能に
2026年3月末には、「放送の限界」を示すニュースが次々に届いた。BS4Kはすでに終了へ向かうらしいとの情報が聞こえていた。BSテレ東とBSフジが来年1月の免許更新をしないことが27日にニュースになった。
2018年にスタートした民放によるBS4K放送は10年経つ前に終了に至ることになったのだ。始まる前からわかっていた気がするが。
驚いたのが、福岡の民放ラジオの「融合への検討」のニュースだ。
私の故郷である福岡からの知らせに驚いた。RKBもKBCもテレビ局との兼営ラジオ局だ。だから合併ではなく事業を融合する検討、ということのようだ。ラブFMは知らなかったがコミュニティFMによる外国語放送局らしい。
30日には、NHK第2AMが終了した。
これはすでに昨年決まっていたことだ。NHKはAM2波、FM1波だったが、そのうちのAM1波を終了させたのだ。
そして31日のニュースがこれ。
「マスメディア集中排除原則」という規定があり、同じエリアで2つの放送局を同じ事業者が運営してはならない、というものだ。マスメディアを特定事業者が独占すべきではないという趣旨だが、ローカル局の経営が厳しくなるとそうも言ってられなくなる。「1局2波」とも言われるのだが、同じ会社が2つのテレビ局を経営できるようにする。
そのための有識者会議が31日の夕方に予定されていたのを、いわば先出しで読売新聞が記事にした。同じ会議で先月すでに出ていた議題で、その時点で容認されたムードだったので、誰も文句は言わない記事だったろう。
こうして並べてみると、2026年3月は「放送が終焉に大きく近づいた年」と思えてくる。まるで示し合わせたかのようだ。
ラジオにはradikoがあるのに、テレビは将来の姿が見えてない
ラジオ再編のニュースに触れたが、ラジオ業界はすでに未来の姿ができている。radikoだ。もちろん福岡の例のように再編は他でも起きるかもしれないが、収まる形はもう完成しているのだ。
radikoは、放送でのラジオがそのままネットで再現されている。東京にいれば東京で流れるラジオ局が、福岡にいれば福岡のラジオ局がそのままPCやスマホで聴くことができるのだ。
しかも1週間以内ならradioフリーと呼ばれるオンデマンド聴取が無料で可能。さらに有料のradikoプレムアムなら月額385円でエリアフリー、全国のラジオ局の番組が聴ける。タイムフリー30なら480円で30日以内の番組が聴ける。
もしかして将来、ラジオ局が電波による送信をやめても、まったく同じようにスマホで聴ける。ラジオは今後どう続くのか、決まっているのだ。しかもいまと遜色ない形で。NHKも民放も関係ない。
それなのにテレビは未来の形が見えていない。NHKはNHK ONEで見ることになる。民放はTVerで見る。そこまでしか見えていない。そしてその時点でえらく不便だ。民放とNHKが別々のサービスなのだから。もっとも、NHKは要らない、受信料を払いたくないという人にとってはむしろいいのだろうが。
TVerも基本的には1週間以内の番組のサービス。ドラマを放送開始から1ヶ月経って面白いと聞いたので最初から見るには、局ごとのVODサービスに有料で加入する必要がある。日テレはHulu、テレ朝はTELASA、フジテレビはFOD。さらにTBSとテレ東はU-NEXT。テレ東のビジネス番組はテレ東ビズ。ややこしい。
最近はドラマがまとめてNetflixやAmazonで視聴できることもある。NetflixのほうがTVerより画質がいいから私はできるだけそっちで見る。
これらの話は、主にキー局のドラマやバラエティであって、ローカル局の番組はネットでほぼ見ることができない。福岡にいる時に、夕方流れた山笠のニュースは、リアルタイムで見逃すとそれっきりだ。
ニュースはキー局のものも後から見るサービスはない。YouTubeで視聴できることもあるが、どのニュースが見られるか探すのは大変だ。
そんな状況をせめて解決してほしいと、未来のテレビのリモコンをGeminiにでっちあげさせたのが冒頭の画像だ。

VODサービスが一通りボタンですぐ見られる。YouTubeもNetflixもボタンひとつ。若い世代ならこれでいいと言うだろう。放送を見る習慣がないからだ。
これらのボタンとは別に「NEWS」ボタンもぜひ実現してもらいたい。各局のニュース番組がいつでもオンデマンドで視聴できる。福岡にいるときは真っ先に福岡のテレビ局のニュース番組が並ぶ。その時、そこにいる人が見るべきニュースのサムネが画面に並び、選べば再生される。
2026年3月、テレビはいずれこうなることがはっきりした。あとはサービスを整えればいい。もう、放送ではなくすべて配信でこと足りる時代が、すぐそこに来ている。
テレビの正解は、今のリモコンをそのまま残す、テレビのradiko方式だ
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