「キャスター」をクソミソにけなすつもりで細かな視聴率を見たら逆に日曜劇場の底力を思い知った件

ツッコミどころ毎回満載!最終回はジャーナリズムとして大問題?
日曜20時からのTBSドラマ「キャスター」が6月15日に最終回を迎えた。この枠は「日曜劇場」と呼ばれる伝統の枠で、「半沢直樹」「下町ロケット」「仁〜JIN〜」などの名作話題作を生んできた。クオリティの高さには定評がある。
その日曜劇場の枠で、報道を題材に阿部寛が主演するドラマ「キャスター」が放送されると聞いて私は大いに期待した。関西テレビ制作の2022年のドラマ「エルピス-希望、あるいは災い-」のように社会を抉るようなものになるかとワクワクしたのだ。
ところがスタート回からその期待は裏切られた。その軽さと浅さ、脚本のチグハグさにがっかりした。メインキャストの不倫まで報じられ、どんどんダメなドラマになっていった。どこまで堕ちていくのか見届けようと毎回チェックした。
最終回は本当に酷く、最後の肝心な「陰謀の内幕」は部屋の中での高橋英樹演じるテレビ局会長とキャスター・進藤の説明的な会話だけで明かされた。最後の会話に解決をすべて詰め込んでしまっている。43年前、進藤の父親によるスクープが闇に葬られた。「墜落した自衛隊機が積んでいたのはプルトニウム」という内容だったが、自衛隊の人々を慮って父親と政治家、地元の所長とで話し合って伏せておくと決めたとわかった。さらにそのプルトニウムは米軍基地に運ばれて核兵器に転用されたことも明かされた。会長は、「この事実を知れば国民は分断される、そんなことができるか」と問う。進藤は反論せず終わった。
え?ちょい待てよ!プルトニウムを自衛隊機が運んでたと掴んだのに記者だった父親は記事にしなかったの?自衛隊を慮って?米軍基地に運ばれたことは国民を分断するから世間に知らせないとの会長の説明に、進藤は従うの?
このドラマでは、それまでも脚本がひどく毎回ツッコミどころ満載だった。辻褄が合わなかったり、普通そんなことせんやろ、という箇所がたくさんあった。
ところが最後に、ジャーナリズムが自衛隊の隊員たちの気持ちを慮ったり、国民を混乱させるからと米軍の日本での核保有を隠したり、するのかよ!という最大のツッコミどころが出てきた。ツッコミどころというより、それまでジャーナリズムのあるべき姿を進藤が貫いてきたのに、何をやっているのか?しかもテレビ局制作のドラマでこんな展開にして、TBSのモラルはどうなっているんだ!と、ツッコミどころを見つけてはあざ笑う意地悪な視聴者だった私も本気で怒った。TBS報道セクションの人たちは、このドラマのプロデューサーに抗議すべきだと思うが、そんなことないの?
高視聴率の中身は高齢層か?
ところがこのドラマは、日曜劇場の高視聴率の水準を保っていた。いつも世帯視聴率10%前後を維持し、最終回も世帯視聴率で12.0%、個人視聴率でも7.1%の高水準だったそうだ。なんですと?!
最終回にみんな納得したの?ジャーナリズム云々は置いといても、終わる間際に初登場の謎の人物まで出てきて進藤の妻の事故に関与しているらしい。「らしい」で終わっちゃったよ。これなに、続編作る気満々ってこと?ふざけるんじゃないよ!
だいたい、平均10%だの最終回の12%だのも、要するに高齢層を確保してるからでしょう?視聴率がいいドラマは中身を見るとだいたいは高齢層、50歳以上のF3、さらには65歳以上のおばあちゃんが多く見ているからで、その下の層、特に若い層はちっとも見ていないことがほとんど。「キャスター」だって同じでしょう?
そこで、性年齢別の視聴率を見てみた。TVALという、スイッチメディア社のダッシュボードでデータを調べた。すると、想像とは違う数字が出てきた。
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