地上波テレビがWBCにはしゃぐほど、Netflix会員はどんどん増える

WBCに地上波テレビが浮かれているのが不思議です
境 治 2026.03.10
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WBCにあきれるほどはしゃぐ地上波テレビ

3月4日の記事で、地上波テレビが自分たちで放送しないWBCの前座みたいになっていると皮肉を込めて書いた

5日に開幕してからも、「WBCの前座役」をやめないどころかますますはしゃいでいる。侍ジャパンの各試合の開始前を盛り上げ、試合が終わるとこぞって「速報」として結果を伝える。
7日の韓国戦終了間際、夜10時からのTBS「情報7daysニュースキャスター」が始まり、安住紳一郎が冒頭「現在8回表で8対6と目が離せない状況」と丁寧に伝え「試合終了後30分経てば映像と共にお伝えできます」と説明した。これはある意味、WBCの経過が気になる視聴者へのサービスと言えなくもない。
だが8日のオーストラリア戦のフジテレビ「Mrサンデー」の対応は、度を超えていた。番組開始前に試合の展開を収録していたのだ。映像は使えないのでスコアボードを置き、試合の進行に沿って点数を表示して映像抜きの実況。フジの局アナと宮根誠司に加えてわざわざ高津慎吾と宮本和知を解説に招き、映像のない実況を収録した。その収録を番組中で流したのだ。いくら映像が使えないからって、チープすぎる。あまりに自虐的で情けない。
地上波テレビ、どうかしてる!と私は感じた。このはしゃぎぶり、盛り上がるほどにNetflixの会員数が刻々と増えただろう。Netflixがこれまでアクセスできなかった「テレビを中心にメディア生活する層」の獲得に貢献している。ライバルに利するようなことを地上波テレビがこぞってやっている。

4.9%の新規会員獲得は大成功!

ではNetflixはWBCでどれくらい会員を増やせただろう。共同通信が独自に調査した結果を記事にしていた。(↓こちらは共同通信の配信した記事を沖縄タイムズが掲載したページ)

「試合を見たいので新たに契約した。あるいは契約する」と答えた人が見出しでは4%だが、本文では4.9%だ。調査結果を小さく見せようとの共同通信のせこい魂胆がわかる。40%も視聴率を取るコンテンツなのにたったの4%だぜ、と言いたいのだろう。4でも4.9でもいいのだが、これは決して小さい数字ではない。この段階で4%の新規契約者が獲得できているのなら、すでにNetflixのWBC配信は大成功!ということになる。
4%の母数をどう捉えるかは微妙だが、仮に日本の世帯数を設定してみよう。2024年6月時点の日本の世帯数は5482万世帯だそうだ。その4.9%だと268万世帯になる。Netflixの契約者数は2024年に1000万と発表された。WBCによってすでに4分の1以上も新たな会員を獲得できたなら万々歳だろう。共同通信は少ないと言いたいのだろうが、そうでなく、多いのだ!わざわざ調査してくれてご苦労様!
共同通信よりさらに詳細な調査がある。産業能率大学スポーツマネジメント研究所による1万人調査だ。WBCについて様々な調査を行ったものだが、「ネットフリックス契約への影響」の項目もある。

契約状況について聞いたところ「WBCに関係なく契約済み」が17.3%、「WBCが理由で契約」が4.9%で奇しくも共同通信の新規契約者と同じだった。この数字は堅いのかもしれない。
さらにもうひとつ、「盛り上がり次第で契約検討」が8.8%だったのがこの調査の面白いところだ。世帯数に換算すると482万世帯になる。今後、侍ジャパンがマイアミで行われる準々決勝、準決勝、決勝と進んで盛り上がればさらにこれだけ獲得できる可能性があるということだ。4.9%の分と合わせると750万世帯になる。1000万がWBC効果で最大1750万に膨らむ、かもしれない。WBCがいかに効果があるかがわかる。
もう一点、会員数1000万世帯は2024年6月時点の数字だ。2020年に500万だったのが、4年で倍になっている。そしてNetflixのシェアは2025年にさらに拡大したとのデータもあるので最低でも同じペースで伸びていると考えていいだろう。
4年で倍つまり500万増えたなら、それからさらに2年近く経っているので2026年2月時点で1250万弱になっていてもおかしくはない。
この仮説に立つと、さっきの1750万は2000万に膨らむ。産能大の調査からNetflix会員数はWBC効果で2000万に達する可能性があることになる。何度も言うが、調査結果などから理屈で導き出した”可能性”として書いている。でもけっこうあり得る話だと私は考える。Netflixが言われている通りWBC配信権に150億円かけたとしても、その価値はあると言えるのではないか。
WBC効果は会員数だけではない。広告媒体としての正式デビューという点も見逃せない。地上波テレビが盛り上げてくれるおかげで、Netflixはテレビ広告市場を侵食する可能性があるのだ。その理由はWBCを見た人ならわかるだろう。
あれはもう、テレビだった。

テレビ広告のスポンサー企業がNetflixでのCMを体験した意義

WBCライブ配信で驚きだったのは、CMの入り方がテレビ放送と大きく変わりなかったことだ。私はてっきり、60秒枠など長尺でブランディング的なCMをこってり流すと思っていた。だが皆さん見た通り、ほとんどが15秒CMの積み重ねだった。
侍ジャパンの初日、チャーニーズタイペイ戦でCMを流した企業名をメモっていったので並べてみよう。

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