地上波テレビがNetflixによるWBC配信の前座を務めている

イラン攻撃よりWBCに盛り上がる地上波テレビ局
WBC2026の開催がいよいよ3月5日に近づいてきた。2月最終週はこの日に向けてはっきりと盛り上がりはじめた。盛り上げ役は、他ならぬ地上波テレビ局だ。
スーパースター大谷翔平が帰国すると、ニュースでキャスターが高揚しながら球場でレポートしている。2月27日と28日は侍ジャパンと中日ドラゴンズとの壮行試合があった。
この試合に大谷は出場しなかったが、フリーバッティングの様子がスポーツニュースやワイドショーで放送された。何本も大きなホームランを打っていて確かにすごいのだが、この場面を各局が朝から晩まで何度も何度も流す。
中日との壮行試合はTBSとテレビ朝日が放送。するとまるでWBC本番のようにまたスポーツニュースで試合の様子を伝える。
私は正直、野球に興味はない。2023年のWBCはそこそこ見たが、本質的にスポーツ観戦がさほど好きではない。
だから、地上波テレビ局全体がWBCに向けてあまりにもボルテージを上げていることにたじろいでしまう。そんなに大事なことか?本番は地上波で放送しないのに?
28日にアメリカがイランを攻撃し、事実上の戦争状態に入ったがその情報をなかなかテレビが伝えない。翌日3月1日の夕方になってやっと情報がまとまったのか、各局のニュースで報じ始めた。
1日の夜は18時から日本テレビ「バンキシャ」があるので、そこでじっくり伝えるかと思いきや、キャスターの桝太一が侍ジャパンと大谷翔平のレポートを始めた。テレビ朝日では「有働timesスペシャル」と題して有働由美子がWBC名場面を紹介する。
地上波テレビ局、どうかしてる。世界を揺るがす戦争が起きているのに、WBCと大谷翔平の方に多く時間を割いている。アメリカとイスラエルがイランを攻撃し、双方に死者も出ているのに、何をしているのだろう。
WBC最大のプロモーションは地上波テレビ
今週に入っても2日、3日とWBC強化試合が連夜放送されている。2日はTBSの放送で、夕方のNスタは18:30終了。キャスターの井上貴博が、終了まで少し時間が余った様子の中、「いくらでも喋りますよ」とWBCを盛り上げるトークを続ける。自局で放送する中継に視聴者を惹きつけるのは当然かもしれないが、あまりにもはしゃいでいるのが少々滑稽に見えた。
不思議で仕方ないのだが、前回も書いたようにWBCはNetflixが独占配信に向けてあらゆる手を打っている。
だが彼らが狙うべきマジョリティ層はテレビを中心にメディア生活する人たちだ。テレビCMでもアプローチできるとは言え、番組を通してアピールする方がずっと効果的だ。だからこそ、日本テレビが制作協力だけでなくプロモーションでも協力する。特番が放送予定だ。
そんなNetflixが仕込んだ施策の何倍、何十倍もの効果がある盛り上げを日テレ以外の局も大喜びでやっている。どうしてそんなにはしゃぐのか、不思議でならない。そうやってはしゃげばはしゃぐほど、Netflixに利することになるのに。

3月2日のWBC強化試合夜の視聴率グラフ
2日夜の視聴率の動きをTVALで見ると、WBC強化試合が断然トップだ。放送するTBSは他局の水準の倍。
この視聴者たちが、5日にWBCが始まったらどう動くのだろう。さらに、3月6日、チャイニーズタイペイと対決する侍ジャパンの最初の試合でどうなるか。
当日TVAL を見てもNetflixの数字は出ないので確認しようがない。だが上のグラフのうちの何分の1かはNetflixに移るはずだ。

3月2日の侍ジャパンvs中日 壮行試合の視聴率(TVALデータより)
上のグラフは、3月2日の壮行試合のもの。50歳以上のF3-、M3-と、65歳以上のF3+、M3+が主な視聴者だ。この中にはまだNetflixに加入していない人々がわんさかいる。65歳以上は大半がそうだろう。
そんな人たちがおそらくいま、様々にネットで情報を集めたり、子や孫に聞いたりしてNetflixに加入しているに違いない。Netflixが仕掛けたプロモーションに加えて、地上波テレビがはしゃいで盛り上げている効果だ。何しろ、Netflixが一番苦手な層を、いま地上波テレビが煽っているのだから。本番は自分たちはタッチしないわけで、まるで地上波テレビはNetflixの前座だ。
それなのになぜそこまではしゃぐのか、野球に興味のない私には不思議でならない。野球には、そして大谷のようなスーパースターには、テレビ局の人たちが本能的に反応する何かがあるのだろうと思う。
それはいいが、もう少しイラン情勢を伝えて欲しいものだ。
「リーチ×クオリティ」の広告の強さをNetflixが手に入れる
そして地上波テレビにとって脅威なのが、WBCによって会員数が大きく増えたNetflixでの広告展開だ。はっきりと市場に食い込む可能性がある。
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