高齢者にしがみついているとオールドメディアも中道のように崩壊するかもしれない

中道の会見画像をもとにGeminiで作成
史上最高の売上高なのに放送収入は前年割れ
在京キー局の2025年度第3四半期決算が出揃った。"例の事案"で売上を極端に落としたフジテレビを除くと、絶好調だ。フジテレビ以外は去最高の連結売上高となっている。
だが放送収入を抜き出して合計し、前年と比べるとそうそう喜べないことがわかる。

2025年度第3四半期キー局決算資料より筆者作成
第3四半期まででフジテレビの放送収入は前年の半分に満たない。その分が他局に回っているだけで、「過去最高」は一夜の幻のようなものだ。そして5局合計すると差し引きマイナス。5%程度の減少は例年のペースだ。
第3四半期の3ヶ月間だけで見るとフジテレビは前年比 24%のマイナスだった。元通りには程遠いが持ち直してきた。
では来年度はどうなるか。これは蓋を開けてみないとわからない。全体が5%減少に戻るだけかもしれないが、こんな説もある。
今年度は、1月に騒動が起きて広告主は予算全体の見直しができなかった。そのため、騒動前にすでに割り振りが決めてあったテレビ広告予算を維持し、フジテレビ分が他局に回った、という説だ。
だとすれば来期は、予算そのものを見直す可能性がある。またフジテレビ分を減らした影響も見えているだろう。その分が売上にどれくらい影響が出たか。「なんだフジテレビのCMなくしても売上に影響ないじゃないか」と判断しているなら、テレビ広告費全体を減らしてネット広告に回すかもしれない。
テレビ広告予算と売上の関係は簡単に言えるものではない。食品飲料のようにスーパーコンビニで売る数百円程度の商品と、車や住宅のような単価の高いものとでは話が全く違う。だから少しヒアリングしただけではわからない。本当に蓋を開けてみないとはっきりしないだろう。おそらく揺り戻す業界もあればこのまま減らす業界もある。
だが傾向としては「このまま減らしていいんじゃない?」となると私は予測する。それは、テレビが世の中を動かせなくなっているからだ。
テレビは選挙を動かせなかった、つまり世の中を動かせなくなった
今回の衆議院選挙はいろんな側面で驚きだった。もちろん高市自民の圧勝がその最たるものだが、中道のあれほどの大敗も驚いた。負けたというより、崩壊したと言っていい。
自民党への1番の対抗軸と、自民党の票を支えてきた勢力が一緒になったら、逆にそれぞれの支持をものすごい勢いで失ってしまった。直前に予想は出ていたが、ここまでとは誰も思わなかったのではないか。
さてテレビは、昨年来「選挙報道」に力を入れていたはずだ。少なくともテレビのニュース番組はそう宣言していた。確かに、少し前までは選挙期間に入ると途端に選挙を報じなくなっていた。思い返すとそのことがそもそも異常だったと思うが、とにかく選挙になると選挙を報道しない不思議な報道姿勢が日本では当たり前だった。
兵庫県知事選挙で「オールドメディアがSNSに負けた」と突然言い出し(はっきり覚えているが、オールドメディアを揶揄する言い方はネットからではなくテレビが自虐的に始めた)、反省して2025年からは各局が「選挙報道します」と宣言した。当たり前のことを、わざわざ宣言するのも報道機関としてどうかしているが、とにかく力を入れた。
今回の選挙では、テレビ局の人々はそんなことないと否定するだろうが、テレビの選挙報道は「高市勝利の予感に危機意識」を漂わせていた。「このままでは高市人気で自民党が勝ってしまう」と言ってはないが、感じさせていた。
中には、あまりにもはっきりと、「自民党・維新・参政党=強くてこわい日本」との”専門家”の言葉をそのまま放送したところもあった。それは極端でさすがに非難されたが、同じようなことを言いたがってるキャスターはいたのではないか。
そして投開票日には、高市圧勝に何か言いたげなキャスターたちがテレビ画面に並んだ。
ところが、結果を見た市民たちはそれを喜び、高市さんを応援していたと躊躇いもなく言う。
テレビ局は選挙報道に力を入れたが、世の中を動かせなかった。ぬぐいようのない結果だと思う。ずいぶん前にフジテレビのキャンペーンで、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の博士役クリストファー・ロイドがテレビ画面の中を転がりながら「ソレ、世の中、動カシテマスカ?」と問いかけるCMがあった。テレビは世の中動かせないといけない、というメッセージだ。今のテレビに、ロイド氏はがっかりするのかもしれない。「動カシテマセンネ!」
オールドメディア世代が世の中の主流ではなくなっていく
5年前に書いたこの記事はよく読まれた。
自分がおじさんであることは棚に上げてこんなことを言ってきたが、ついにその時が来ているのだなと思う。これも何度も書いてきたことだが、2025年からの10年間で日本の社会文化構造が劇的に変わる。

2025年の人口ピラミッドを独断で「オールドメディア世代」「ネット世代」に区切っている。40代半ばがその境目だ。

2035年には全体が10年歳をとり、それまでボリュームが大きかった「オールドメディア世代」が少数派になる。声がだんだん小さくなり、その主張は徐々に世の中の主流ではなくなる。私はこのピラミッドを講演などで見せては、あと5年でこんな大変化が起きるのです。なぜならば団塊の世代が80歳を超え、亡くなっていくからです、と危機感を訴えてきた。
今回の選挙で思ったのは、なんだ5年後と言わずもう始まっているじゃないか、ということだ。
すでに分析されている通り、立憲民主党の支持者は70代に多かったが、今回の選挙ではそこからも離れた。団塊の世代の左寄りの人々が立憲民主が公明党と一緒になって失望したことは選挙結果に大きく影響しただろう。だからこそ、5年後に起きることが早く起きたと言える。
別の見方をすると、高齢者の支持を、高齢者は安泰だからと当てにしていると、とんでもない誤算を生むということでもある。高齢者の支持は変わらないというのは、妄信だとわかった。
オールドメディアは高齢者、中でも団塊の世代のおかげで保たれている。それすらもわからない、当てにはできない、ということかもしれない。新聞購読者の4割程度は70歳以上だ。5年後にその核が80歳を超えるから新聞は危ない。だがもっと早く、年金生活者がネを上げるかもしれない。
テレビ視聴を下支えしているのも団塊の世代だ。朝から晩までテレビを見ている。すでに兵庫県知事選の時に70代のおばあちゃんが「YouTubeで斎藤知事は悪くないと知った、テレビは嘘つきだ」と言っていた。実際、テレビがネットにつながりYouTubeを見る高齢者は増えている。
ある日突然、新聞購読数が急減し、テレビ視聴率が猛烈に減るかもしれない。今回の中道のようなことが、オールドメディアに起きてもまったくおかしくないのだ。早くネットに出ないと、子どもからお年寄りまでYouTubeとNetflixで十分だ、となるかもしれないのだ。本気で危機感を持たないと、どうなるかわからない。
一歩も進まない放送制度の議論
2月18日の「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会(第42回)」を傍聴した。面白かったのが、有識者の皆さんも苛立っているように感じられたことだ。
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