テレビCMは逆襲できるか〜視聴ログ活用、アドリーチマックスの共通基盤化、その先に見える?エージェンティック広告

2026年10月初旬、テレビ広告をめぐる二つのダイナミックな話題に驚いた。
一つは7日に開かれた「ビデオリサーチフォーラム2026」だ。「テレビ広告取引のデータマーケティング・セールスの展望」と題したセッションで、「非特定視聴データ」の活用について語られた。
もう一つは13日の発表だ。フジテレビ、日本テレビ、TBSテレビの3社が、日テレの開発した広告取引基盤「Ad Reach MAX プラットフォーム」(以下AdRM)を運営する新会社を設立するという。
一見、別々の話題である。しかもどちらも、詳しいことはまだほとんどわからない。だが最近の海外の広告業界の動きと並べてみると、ある道筋が浮かんでくる。誰もそこを目指していたわけではないとしても、AIエージェントがテレビ広告を売り買いする「エージェンティック広告」への道が、いつの間にかできつつあるのだ。
目次
日テレが始めた「売り方」の改革が広がる
まずAdRMから振り返りたい。日本テレビが2025年4月に運用を始めた広告取引の仕組みだ。これについては過去に何度か記事にしてきたのでここではあまり詳しく書かなくてもいいだろう。
簡単に言うと、テレビ広告の取引にデジタル広告の考え方を持ち込んだものだ。インプレッション(視聴数)単位でCMを買えるようにし、直前のCM素材の差し替えにも対応できる。
利用した広告主はすでに150社を超え、うち約1割は初めてテレビCMを出す企業か、一度やめて戻ってきた企業だという。2026年4月からは、地上波とTVerのインプレッションをまとめて予約できるようにもなった。
ただし、AdRMで売られる枠は在庫全体のまだ数パーセントにすぎない。日テレが狙ったのは、あくまで自局の枠をもっと効率よく売ること、そしてテレビを使ってこなかった広告主に入口を用意することだった。
「共通基盤」になることで買いやすくなる
AdRMには最初から課題があった。日テレ一局では届く人数に限りがある。開発と運営のコストを一社で背負い続けるのも重い。
今回の新会社は、その限界への答えと言える。日テレが持つAdRMの技術とノウハウを吸収分割で新会社に移し、フジとTBSが出資する。日テレの11月の取締役会で承認されれば、2027年2月に事業を始める。
参加局の予定も公表されている。読売テレビと中京テレビは今年10月にオンエアを始めた。札幌テレビと福岡放送は2027年4月の放送開始を目指す。TBSは2027年春、フジは2028年春に接続する予定だ。
買い手の側から見ると、バラバラだったテレビ広告の窓口が、一つにまとまり始めたのだ。そこもネット広告に近づく。特定のターゲットに対する効率的なメディアバイイングができるようになるのだ。
一方で、テレビ朝日とテレビ東京の名前は今回の発表にない。いずれ合流するのかもしれないし、独自の手法を開発中なのかもしれない。そこは現時点では不明だ。
「視聴ログ活用」が考え方を変えて具体化へ
10月7日のフォーラムではテレビ広告に関する別の課題と解決策が共有された。
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