メディアなんて、どいつもこいつもろくでもない、躍る私もろくでもない

週刊文春の「訂正」について解説し、メディア全体の信頼失墜について書いています。
境 治 2025.01.30
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もう週刊文春なんか買わない

中居正広氏のスキャンダルが載ってから、私は週刊文春を毎号買ってきた。読むのは「SEXスキャンダル追及」というシリーズ記事だけで1から4まで進んでいた。中居正広氏のことより、その関連で書かれているフジテレビの疑惑について読むためだ。

ところが、すでにみなさんご存知の通り幹部社員A氏の、問題が起きた食事会の関与はなく誤報だった。なんだそりゃ。カネ返せ。

訂正についての編集長のコメントを読もうとすると、私の大嫌いな「通せんぼ広告」が表示された。腹が立ったのですぐ閉じた。

週刊文春は橋下徹氏の指摘を受けて訂正を電子版に掲載したという。紙の雑誌を買った客に、訂正を読ませないとは何事だ!

竹田編集長は産経新聞の取材にこう述べたそうだ。

第二報以降を読んでいる方には分かってもらえているが、第一報だけを読んだ人は勘違いしてしまうということで訂正を追記した

ふざけるな!第二報を読んでるが、わからんわ!勘違いするに決まってるだろう!

具体的記述をお見せしよう。昨年12月26日発売の第一報記事の中にはこう書かかれている。

2024年12月26日発売・週刊文春1月2・9日号 P195より

2024年12月26日発売・週刊文春1月2・9日号 P195より

被害者であるX子さんは詳しく話せないのでと、突如登場した「X子さんの知人」が上のように述べたとある。「Aさんに言われたからには断れないよね」とはっきり、フジテレビ幹部社員Aさんの誘いだったと書かれている。

これが第2報ではこうなっている。

2025年1月9日発売・週刊文春1月16日号 P16より

2025年1月9日発売・週刊文春1月16日号 P16より

「X子さんの別の知人」の言葉として「X子は中居さんからA氏を含めた大人数で食事をしようと誘われていた」とある。これをもって、竹田編集長は「第2報以降を読んだ人はわかってもらえている」と言っているわけだ。

よーく読めば、もちろん「この場合誘ったのは誰か?はい、中居さんです」と答えるだろう。でもねえ第一報を読んだ私は、こんなに細かい違いはわからないよ!この記事から呼んだ人だって頭の中は「中居くんのトラブルはフジテレビA氏がお膳立てした場だった」との頭があるから、上の文章で誘ったのが誰かは混同するだろう。そもそもこの文に「A氏」は必要だったか?ミスリードを狙ったとしか思えない。

この記事には、その前の部分に「Aさんがセッティングしている会の”延長”だったことは間違いありません」とか「最初の会食はAさんから誘われて行ったし、その後もそうです」などの発言が、X子さんが言ったのか、X子さんの知人が言ったのか、A氏を知るテレビ関係者が言ったのか、わかりにくーい形で出てくる。

今回「訂正」になったのは12月26日発売号の「X子さんの知人」が言った「Aさんに言われたからには」の部分だと思う。そうすると、第2報以降も何の信憑性も感じられなくなるだろう。竹田編集長が「第2報以降から読めば大丈夫!」みたいに言うのは詭弁としか思えない。そもそもX子さんの知人は実在するのかも、こうなると疑わしい。

そしてこのスクープはそもそも、直前に出た女性セブンの中居スキャンダルを受けてのもので、後ろのほうのページに掲載されている。中居氏とX子さんの周辺を探っていたらフジテレビA氏の名前が浮上したのでちょこっと取材して書いたのではないか。そうしたら話が大きくなって調子に乗って第2報、3報と続けていたらフジテレビが大変なことになった、という流れではないか?

いや、そうなのかどうなのかもわからない。もう誰も信じられないし、自分も信じない。4週続けて週刊文春を買って中居氏とフジテレビの記事だけを読むのに2千円以上払ったが、4冊の資源ゴミができただけだった。

何をやっているのか、私ときたら。この記述の違いはよく読めばわかることで、だから橋下徹氏も指摘したわけだが、ジャーナリスト松谷創一郎氏も第2報が出た段階でちゃんと指摘していた。

ちゃんとした人は、自分で読んで違いに気づいたわけだ。これを知ると、ちゃんとしてない自分の浅はかさを責めるしかない。

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