11年ぶりに会ったグレッグに11年間言いたかったことを言ってやった話

2015年に会ったNetflix日本法人代表グレッグ・ピーターズは、いい奴だった
Netflixが日本でサービスを開始したのは2015年9月だった。2月にこの情報を仕入れた私はいち早くそのことを記事にした。このサービスが始まったら日本のコンテンツ業界が変わる!そう期待して熱心に記事を書き続けた。
6月、日本法人代表のグレッグ・ピーターズ氏がフジテレビの「新・週刊フジテレビ批評」に出演するので聞き役として出てくれないかと番組側からオファーがあり、もちろん引き受けた。鳴物入りで日本に上陸するサービスの責任者と会えるなんて光栄だ。
その時の顛末はブログに書いている。番組収録の日にピーターズ氏はフジテレビとの共同制作会見をお台場で行い、その足でスタジオに来てくれた。通訳の方がついてくれたが、彼は日本語が堪能でカメラが回っていない時間には気さくに話をしてくれた。
残念だったのは、まだ具体的なことは詰めている最中で、料金などを質問しても検討中との回答ばかりになった。用意した質問が次々に空振りに終わり、私としては不完全燃焼なインタビューになってしまった。
収録が終わるとピーターズ氏は申し訳なく思ったのか、「料金が決まったらあなたにいちばん最初に教えますよ」と言ってくれた。まあ社交辞令だろうと思いつつ、「約束ですよ」と私はいちおう念押しした。
8月に入ったある日、電話が鳴った。出てみると、Netflix日本法人の日本人側トップのO氏だった。「料金が決まったのでグレッグが境さんとの約束を果たしたいと言っています」えー?!本当に約束を守ってくれるの?ピーターズ氏に電話を代わり、私に直接料金を、丁寧にプラン別に教えてくれた。大手メディアに伝える前に、わざわざ私に電話することで「いちばん最初に」の約束を守ってくれたのだ。
「ありがとうグレッグ!」
なんだ、グレッグいいやつじゃないか!
11年ぶりにグレッグとラウンドテーブルで再会
その数ヶ月後、私はNetflixの当時の広報担当者と揉めた。よほどグレッグにチクろうかと悩んだが、どう転んでも禍根を残すと考え、直接の取材は諦めることにした。
やがてグレッグは日本代表を離れて米国オフィスで中枢を担うようになり、2023年1月からはテッド・サランドス氏とともにNetflixの共同CEOに就任した。サランドス氏がコンテンツ部門の責任を担い、グレッグはプロダクトや技術など広く受け持っているらしい。様々な場で記事に登場するたびに「グレッグはいいやつなんだよな」と私は呟いていた。もう覚えてないだろうなあと思いつつ。
先日、非公式なラウンドテーブルが行われた。グレッグ・ピーターズCEOを少数の記者・ライターが囲んで質問できる場だ。現在の広報スタッフのおかげで数年前からNetflixとの関係を取り戻していた私も呼んでもらえた。

中央にグレッグ・ピーターズ氏が座り、白いジャケットの後ろ姿が筆者
私もよく知る記者・ライター諸氏が次々に質問する中、私が気にかけていたのはたった一つだった。グレッグは私を覚えてくれているのか。あれ?これでは一度だけ言葉を交わしたあの人を思い続ける片想い女子みたいだ。でも何しろ、遠い人になっちゃったからなあ。
私の発言の番になり、私は言った。「10年ぶりですが覚えてますか?」
グレッグは「覚えてますとも!」と言ってくれた。言ってくれたが、本当かなあ。と疑いつつも、私は質問、というより提案を彼に投げかけた。
どうしても伝えたかったことを11年越しに伝えた
私には、ずっとグレッグに伝えたかったことがあった。関係が途切れなければ直接言えただろうこと。
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