日本の映画市場でハリウッド作品が凋落!劇場の主役は完全に交代した

いまやハリウッド映画よりアニメです!
境 治 2026.01.29
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2025年の日本の映画興行市場、史上最高の2744億円!

日本映画製作者連盟が1月28日、「2025年(令和7年)日本映画産業統計」を発表した。興行収入が2744億円と過去最高を記録したことに私は驚いた。

2000年代以降、日本の映画市場は概ね2000億円前後で推移してきた。好調な年でも2200億円程度、不調な年は1800億円台まで落ち込むこともあった。その水準を大きく逸脱する数字である。

2019年にも2611億円と水準を大きく超える数字を記録し、新時代に突入したと思ったがコロナ禍で腰を折られた。2020年には1432億円と落ち込んだが思うほどひどくもなかったのは、「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の信じられないヒットのおかげだった。2022年には2131億円とこれまでの水準に戻っていた。

昨年2024年の2069億円から675億円増という超絶的な伸びは、3つの異例のヒット作によってもたらされた。「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」(391.4億)、「国宝」(195.5億)、そして「チェンソーマン」(104.3億)を足すと691.2億で増加分とほぼ同じになる(「名探偵コナン」は毎年のメガヒット作なのでこの計算に入れていない)。

ここ数年、日本の映画興行を牽引してきたのは、アニメのメガヒット作品だ。2010年代に新海誠作品が登場し、日本のアニメ映画が250億ものメガヒットを叩き出す時代を迎えた。2020年に先述の「鬼滅の刃」が400億円を超える空前の記録を樹立して以降は、「ONE PIECE」「呪術廻戦」「すずめの戸締まり」といったアニメ作品が次々と100億円の壁を突破している。かつて100億円超えは年に1作品あれば良い方だったが、今やアニメに限れば珍しくない数字になった。

一方、この統計で際立つのは洋画の凋落ぶりだ。全体に占める洋画の割合はわずか24.4%。4分の3以上を邦画が占める構造になっている。かつて日本市場を席巻したハリウッド映画はすっかり影を潜めた。

グラフは「日本映画産業統計」をもとに筆者作成

グラフは「日本映画産業統計」をもとに筆者作成

上のグラフを見れば、2019年までは邦画が優位を保ちつつも洋画が張り合っていたのがわかる。それがコロナ禍を経てその差が大きく離れた。2025年は、邦画が洋画をさらに突き放している。

象徴的なのは、世界で大ヒットした作品が日本でだけ不発に終わるケースが続出していることだ。「ワン・バトル・アフター・アナザー」は世界興行収入で2億ドルを叩き出し、作品の評価も高くアカデミー賞では14部門にノミネートされている。ところが日本では10億円超えのリストにも入っていない。3億円程度に終わったと聞く。

私は公開直後に満員のIMAXスクリーンで見て興奮し、興収ランキング3位以内は確実だと思ったが、週明けに見ると8位だった。翌週はランキングから消えた。こんなに面白いし、「タイタニック」で全女性の心を掴んだレオナルド・デカプリオ主演なのにと呆然としたものだ。

ハリウッド映画の世界市場でのシェアはこの10年相対的に減少しているから世界的潮流なのかもしれない。しかし日本の24.4%という数字は、他の主要市場と比較しても異常な低さだ。

ハリウッド映画好きは50代以上のオールドメディア世代

私自身がそうだったように、一定世代以上の日本人はテレビで毎日のように「〇〇洋画劇場」を見ていた。1970年代から80年代、ゴールデンタイムには必ずどこかの局でハリウッド映画が放送されていた。日曜洋画劇場、水曜ロードショー、ゴールデン洋画劇場——これらの番組で育った世代にとって、「映画」といえばハリウッド作品を指した。

この世代は「スター・ウォーズ」「E.T.」「ターミネーター」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」といった今も愛され語られる作品をリアルタイムで体験した。世界でヒットすれば日本でも必ずヒットした。ハリウッドと日本の観客の嗜好は同期していたのだ。

しかし洋画劇場は2000年代に次々と姿を消した。視聴率の低下、放送権料の高騰、そして何より視聴者の嗜好の変化がその背景にある。テレビ局は洋画枠を縮小したり、単発の特番枠に変えていった。

50代以上がハリウッド映画で育ったように、40代以下はアニメで育った。1990年代以降、日本では子供から大人まで映画館でアニメを見る文化が定着した。「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」「名探偵コナン」が毎年のように劇場版を公開し、ジブリ作品が大人にまでアニメの対象を広げた。

2016年からは新海誠作品がメガヒットとなり、深夜アニメの劇場版も次々とヒットを記録している。

そしてコロナ禍が決定的な転換点となった。2020年から2021年にかけて映画館が断続的に閉鎖され、ハリウッドではストライキも発生した。洋画の公開本数は激減し、公開延期が相次いだ。この2年間、日本の観客とハリウッド映画の接点は事実上断絶した。

枯渇しかけた劇場を「鬼滅の刃」が救った。400億円というジブリ作品もびっくりの桁違いのヒットとなり、劇場でのアニメの存在を決定づけた。映画館で見る作品をハリウッド大作からアニメに変えた。

そして50代以上の映画ファンは、この間にNetflixやAmazon Prime Video、U-NEXTなどの配信サービスで映画を見る習慣を身につけた。わざわざ映画館に足を運ばなくても、自宅であらゆる質の高いコンテンツを見られる。コロナ明けに映画館が再開しても、彼らの多くは戻ってこなかった。

劇場でハリウッド映画を見る文化は、一部の映画通のみに縮小した。MCUの最新作でさえ、かつてのような動員力を持たない。唯一トム・クルーズだけは"世界的映画スター"のポジションを保ち、「ミッション:インポッシブル」シリーズは変わらずヒットし「トップガン」をリブートさせた。だがハリウッド映画を見る世代は高齢化し、若い世代には視野に入らなくなっている。

アニメ映画が中心の一方、上映作品は多様化

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