フジテレビは王様に戦いを挑む決意をした(その必要あったかな?)

フジテレビと北尾氏との対決(?)についてです
境 治 2025.05.19
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フジテレビが本日、5月16日に決算を発表し、キー局の決算が出揃った。15時30分発表の予定が1時間ずれ込み、16時30分を過ぎてやっと発表された。

フジテレビが本当に4位に転落!

まず数字を確認しよう。かねてから見えていたことだが、フジテレビの売上高は2141億円で前年から10.1%ダウン。2024年度は各局とも放送収入が持ち直し、前年比3.5%〜5.2%だった中で一人負け。

各キー局決算資料より筆者作成

各キー局決算資料より筆者作成

2014年度は1位だったのがどんどん転がり落ち、かろうじて2位をキープしていたが、今回の騒動で4位に転落した。直接的には今回の事案によるが、時間の問題だったとも言える。80年代から2000年代までの輝いていた時代からすると隔世の感がある。

2024年度は各局とも放送収入が前年比より上がる形で進んでいたのだが、各局とも1月〜3月期で前年を上回った。テレビ朝日の上回り方がもっとも大きかった。

テレビ東京も加えた5局の放送収入を足すと7569億円で、前年比-0.7%。フジのCM撤退分を吸収してトントンだったわけだが、本来は前年比で上回るべきだったので、放送業界全体としては取りこぼしたことになる。その分はネット広告に回った可能性が高い。

また配信広告にも影響が出た。2024年度は各局とも50%前後の伸びを示していたのだが、フジテレビは前年比6.9%の伸びに留まり、今回の事案で1月〜3月期の配信収入も大きく下がったことがうかがえる。

フジ・メディアHDは通期予想も出している。フジテレビの放送収入はタイムとスポットを合わせて983億円と見ている。2023年度の放送収入は1473億円だったのでその3分の2。これは下期からCMが戻る前提ではないかと思える。果たしてそうなるかどうか。

いまひとつよくわからない新たな取締役陣

16日の発表でもう一つ注目なのが6月の株主総会で出す取締役案だ。ダルトンインベストメンツが12名の取締役候補を提示し、その中の一人SBIホールディングス会長兼社長の北尾吉孝氏が4月17日の会見で吠えた。フジテレビの改革案を示し、従わないなら自らも5%ぐらいの株を買うのはわけないと脅した。

これを受けてフジ・メディアHDの金光修氏は戦う意思を示さないように見えた。3月27日に出した取締役案は最終案ではない、と言ったのだ。だからダルトンと北尾氏と話し合って共通案を作るのかと思いきや、昨日の夜には「独自案を出す」と報じられていた。

そして5月16日、決算とともに発表したのが新たな取締役案だ。3月27日のものから金光氏を含んでオールドボーイズな人びとは退任すると発表済みだった。そのうえで新たな案を出すのなら、驚くような人物の名前が挙がるのかと思っていた。だが、出てきたリストは・・・どうなんだろう、と私には感じられた。

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