NHKから届いた回答書を解読したら、NHK ONEはサブスクサービスだと判明した

NHKに質問したら回答書を受け取りました
境 治 2025.10.14
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10月1日にスタートしたNHK ONE。登録の段階でトラブったり、登録せずとも使えたりの混乱を記事にした。

わからないのはこの3点。
1)登録したらさらに何がいいのか?
2)フリーライドをどう抑止するのか
3)業界団体から猛抗議が来るのではないか
これについて質問したらまた回答書をもらった。私としては対面で取材したかったのだが、次々に来る私のような質問者への対応が大変なようだ。

だが回答書を読むとまたわからなかったり、わかるけど矛盾を感じることが出てきた。それらについて書き記しておきたい。

NHK ONEアカウントに加えて「受信契約情報の登録」も?よくわからん!

1)登録したらさらに何がいいのか?
これについての回答をお見せしよう。

NHKの筆者宛ての回答書(P1)

NHKの筆者宛ての回答書(P1)

要点を書き出すと、NHK ONEアカウントを登録すると、「マイリスト」機能や「デバイス連携」機能、家族それぞれの「プロファイル」を個別に使える、との説明だ。正直、そんなところか、という感想。さほど便利になる気がしない。これでは、私は今のまま登録せずに使い続けるかもしれない。それより、後半に書かれたことの方が驚きだった。
「今後、受信契約をオンライン上で確認させていただくためのシステムを 11 月中旬以降に導入する予定です。その際、現在お願いしている「NHK ONE アカウント」の登録に加えて、「受信契約情報の登録」をお願いしていきます。「NHK ONE アカウント」と受信契約情報を連携する(紐づけていただく)ことで、受信契約の確認を行います。」
なんですと?旧NHKプラスを登録した人は、わざわざハガキを出して受信料契約に基づいて利用していた。そういう人がNHK ONEアカウントに登録したら、受信料契約済みであるとわかっているはずではないか?それなのに、「受信料契約情報の登録」をお願いされるのか?NHK ONEアカウントと受信契約情報を紐づけないといけないの?

よくわからない。スタート前にも「8月15日までにNHKプラスの登録を済ませておくと、NHK ONEへの移行がスムーズです」と言ってたじゃないか。あれは受信料契約を確認するハガキを出すので期限を8月15日に設定したと思っていたのだが。

「受信契約情報の登録」とは何なのか?対面で話してくれればそこを即座に聞けるのに、回答書をもらうとまた質問しなきゃいけなくなる。まだるっこしいが、さらに質問をしようと思う。

サブスクではないと言いつつ、事実上サブスクじゃないか?

2)フリーライドをどう抑止するのか
これについては回答書の2ページ目を見てもらいたい。

NHKの筆者宛ての回答書(P2)

NHKの筆者宛ての回答書(P2)

質問に対する答えの核はここだ。
「サービスの利用開始後一定期間の後、受信契約の登録・連携を行っていないお客様に対しては、NHK ONE のウエブサイトや各アプリをご利用の際に、「NHK ONE アカウント」の作成や受信契約情報の登録・連携を勧奨するメッセージを、画面の上にかぶせる形で表示します。」
今はまだ、NHK ONEを開くと最初に出てくる登録を促すメッセージをよけて「あとで登録する」ボタンを押せば一通りサービスを見ることができる。

スマホで「ニュース防災アプリ」を開いた画面いちばん下の「あとで登録する」ボタンを押せばすり抜けられる

スマホで「ニュース防災アプリ」を開いた画面いちばん下の「あとで登録する」ボタンを押せばすり抜けられる

「一定期間」がどれくらいかはわからないが、使っていると「画面にかぶせる」形でメッセージが表示されるという。実質、ニュースなどが読めなくなるのだろう。

これは、衛星放送契約をせずにBSでNHKを見ると画面が文字で覆われ見にくくなるのと似ている。なるほど、これならフリーライドは抑止できるだろう。

ただ、それとは別に回答の前半が興味深い。

「NHK ONE は、どなたでもご利用できるサービスです。すでに受信契約を締結されている場合は、別途のご契約やご負担は必要ありませんが、受信契約を締結されていない方が利用された場合は、ご契約の手続きが必要になります。サブスクとは異なり、契約をした方だけが利用できるサービスではありません。」

いやいや、登録(契約)しないと文字で見えなくなり利用できなくなるのだから、サブスクと同じだろう。NHK ONEはサブスクサービスなのだ。

いえ、どなたでも利用できるサービスです、と言い張るのは矛盾している。受信契約を締結してない人が利用する場合は契約の手続きが必要になります、というのは「契約した人だけが利用できるサービス」なわけで、それをサブスクと言うのだ。

これまでは「公共放送」を標榜し、テレビで放送を受信するのは誰でもできて、NHKの集金人がドアを叩いて受信料契約を迫る、というやり方がギリギリ成立していた。実はそこにあった矛盾が、インターネット必須業務化で露呈することになるのだ。

テレビを持つ人からは受信料契約を迫れた。そういう法律があるし、チャンネルが4つとか5つとかしかない中で、NHKだけ見てないというのもあり得ない。ところがスマホを持つだけでは契約を迫れない。ネットではNHKは無限にあるサービスの一つに過ぎないからだ。

それなのに「公共放送」の矛盾が潜んでいた理屈を無理やり文書にすると、上のように矛盾を曝け出してしまう。公共放送だから誰でも見られなければならない。だが受信料契約が必要だから、契約しないと見れない仕組みにする。矛盾しとるやん!私はこの点をどうするのか、契約しない人に対しどう振る舞うのかがポイントだと思っていた。フリーライドを抑止するなら、契約してない人にはスクランブルをかけるしかない。公共放送を掲げるNHKとしてどうするのか?答えは、「スクランブルをかける」だった。NHKはネットではサブスクサービスと同じになった。そうではないと言い張るのは自己矛盾を引き起こしている。

スクランブルがかかるのだから、新聞協会は怒らないと思うのだが・・・

最後にこの質問への回答を見てみよう。

3)業界団体から猛抗議が来るのではないか


2ページ目の最後にこの質問の回答が一部表示されているが、核は3ページ目にある。

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