有権者として、視聴者として、ネット世代が革命を起こし始めている

10年前は団塊ジュニア未満のネット世代は少数派だったが、いまはネット世代が様々な行動で主流派になりつつある。それが政治へもメディア視聴でも影響を与える。
境 治 2024.07.31
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新聞購読は団塊の世代が支えていた

28日朝の公開でプレジデントオンラインにこの記事を書いた。

長々と書いてしまい焦点がいささかボケたかもしれない。前半に書いたTBS「アッコにおまかせ」で選挙投票時の候補者の名前の書き方を間違って局アナが教えたことは、大変な過ちだと思う。

だがこの記事の核心は後半にあるので、そこをさらに掘り下げて書きたい。

私は、メディアにとって世代は非常に大きく、各メディアの生死を握っていると考えている。もっとも影響力が強いのが、人数が多い団塊の世代だ。あらゆるメディアのパイオニアであり、ある時期までは先端を走っていた。それがある時期からは、そのメディアの延命を託されるようになった。

その典型が新聞だ。団塊の世代は新聞をよく読む。その下の世代は新聞からどんどん離れている。さらにこの5年間ぐらいは離れ方が加速していた。だが団塊の世代はかたくなに新聞から離れないどころか、上のグラフでは購読率が高まっている。新聞の生き死には団塊の世代が握っていると言って間違いではない。

人口ピラミッドの変化に見るテレビ世代とネット世代

一方、テレビは団塊の世代はもちろんもっと上の世代から段階ジュニアまでが幅広く支えている。そこまでがテレビ世代で、その下はもうネット世代だと私は捉えている。もちろんグラデーションはあり、ネット世代に分類される人でもテレビを中心に見ている人もたくさんいると思う。大まかな見方として言っている。

そんな世代の変化が視覚的にわかるのが、人口ピラミッドだ。まずは2015年のピラミッドを見てもらいたい。

出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ (https://www.ipss.go.jp/)赤線は筆者加

出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ (https://www.ipss.go.jp/)赤線は筆者加

団塊世代がオレンジの塊で最も高い山だ。60代後半になっている。一方団塊ジュニアは最若年の1974年生まれが40代に入った。赤い線は40歳に私が引いたもので、テレビ世代とネット世代の境目を表す。線より下の40歳未満がネット世代だ。この図を見ると、団塊世代と団塊ジュニアがピラミッドの上半分に大きくのしかかっていて、その下のネット世代を数で圧倒している。2015年は、テレビ世代に対しネット世代が少数派で、抵抗しても無駄だった。

翌年、2016年の東京都知事選挙は小池百合子氏が自民党を離脱して立候補。自民党都議会のドン、内田茂氏と対立した。内田氏が擁立した増田寛也氏と、野党がこぞって推した勘違いジャーナリスト、鳥越俊太郎氏が小池氏に対抗。3人の争いを新聞とテレビが盛り上げた。内田氏をラスボス扱いし、SNSを駆使して女性たちを巻き込んだ小池氏が圧勝。マスコミが如実に左右した選挙だった。

次に2025年、来年の人口ピラミッドだ。5年刻みで作成されているので、現在に一番近い。

出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ (https://www.ipss.go.jp/)赤線は筆者加筆

出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ (https://www.ipss.go.jp/)赤線は筆者加筆

2015年のものと比べるとずいぶん様相が違っている。団塊の世代は男性では一番高い山ではなくなり、団塊ジュニアの方が多い。団塊世代の存在感がグッと低くなっている。そして団塊ジュニアは50歳を超えた。つまり50歳未満はもうネット世代だ。

彼らは「もう40歳だからテレビを見なきゃ」とは考えない。これまでと同じように、ネット中心のメディア生活を送っている。中でもYouTubeには非常に多くの時間を費やす。テレビ受像機でYouTubeを見るのも当たり前だ。

この一歩手前の2024年の選挙は非常に重要なターニングポイントだったのだ。テレビ世代は人口が減って存在感が減った。代わりにネット世代が社会の中核となった。

高まるネット世代の比率に押しやられるテレビ世代

それをよりはっきりさせるため、人口問題研究所の人口ピラミッドの元になるデータを使って、団塊ジュニア以上と未満の人数を集計し、比率をグラフ化してみた。

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