兵庫県知事選で嘘つきと言われたテレビ
SNSがついに結果に結びついた兵庫知事選
2024年は、7月の東京都知事選挙でも10月の総選挙でもSNSとYouTubeが効力を発揮した。都知事選ではYouTubeを駆使した石丸伸二氏はマスメディアの報道では3番手扱いだったのが2位に食い込み、小池百合子氏と競り合うはずだった蓮舫氏が3位の座に甘んじた。
総選挙では国民民主党が躍進し、議席数を7から28へと4倍に伸ばした。玉木雄一郎氏は石丸氏の戦略を真似てさらに磨きをかけたが、その結果若者を中心に得票数を大きく増やした。
そして11月17日に開票日を迎えた兵庫知事選ではついに、SNSとYouTubeが「勝利」に結びついた。優勢と言われた稲村知美氏は97万票を獲得したものの2位に終わり、県議会からも世間からもNOを突きつけられたはずの斎藤元彦前知事が111万票を獲得し当選した。テレビではSNSがもたらした勝利と報じた。また斎藤氏自身もSNSに助けられたと勝利の弁で述べ、稲村氏はSNSでの勝負は避けたと語った。ネットをうまく活用したと自他共に認める候補が、少なくとも都道府県レベルでの首長選挙で初めて勝利したと言える。
ネットが投票に結びついたことは、有権者自身が語っていた。しかも70代の高齢者までもがだ。私は17日20時以降、YouTubeで兵庫県の県域局サンテレビの開票番組が同時配信されていたので見ていたが、有権者たちが「SNSやYouTubeで調べて投票に役立てた」と取材に答えて述べていた。都知事選で石丸氏を支持したのも、総選挙で国民民主を支持したのも、せいぜい40代くらいまでの若者層だった。高齢層がYouTubeで選挙行動を決めたと答えたのも、この選挙での驚くべき現象だと思う。
そして多くの人が言うのは、「最初はテレビでパワハラなどが伝えられていたので斎藤さんに入れるつもりはなかったが、ネットで調べると改革を頑張っていたと知って見直した」ということだ。中には「テレビにだまされていた」とまで言う人もいた。テレビが斎藤氏を叩くので悪い印象を持っていたことを「だまされた」ということのようだ。
テレビはウソをついていたのか?
テレビは人々をだましていたのか?そう言われるとそんな気もしてくるが、よくよく思い返すとちょっと違う気がする。