WBC独占配信でNetflixは日本のテレビ広告市場を狙うのか

WBC独占の目的は新たな層の開拓だけではない
8月26日(火)に発表されたNetflixによる2026年のWBC(World Baseball Classic)独占配信が日本のメディア業界を揺るがした。SNSでは野球ファンによる怒りが拡散している。国民的イベントは地上波テレビで誰でも見られないと盛り上がらない、独占配信はけしからん、という主張が多い。
米国は無料なのに日本だけ有料なのはおかしいとの意見も目にする。だが少なくとも2023年の米国ではFox Sports Channelの独占放送で、ケーブルテレビと契約しないと視聴できなかった。つまり米国でも無料ではなかったのだ。
もう一つ、勘違いされていることがある。広告プラン以外は広告が入らないと言われているが、スポーツライブ配信の場合、米国ではすべてのプランで広告が入っている。スタンダードやプレミアムのような高額のプランでも広告が入るのは意外に思うだろう。だが野球の攻守の入れ替え時にぼーっとそれを見ているより、広告が入った方がむしろ視聴者にとっていいかもしれない。
日本でも同じように広告プラン以外でも広告が入る。これは間違いなさそうだ。
WBC独占配信の目的は、これまでアプローチできなかった層に加入してもらうことにある。若い層中心で1000万世帯まで拡大したが、その先に進むには大谷ファンの高齢層、これまで興味を持ってもらえなかった層を開拓したい。
だがそれとは別の目的がある。広告事業の活性化だ。そしてそれは、直接的ではないが間接的に日本のテレビ広告市場を侵食するおそれがある。具体的に考えてみよう。
NetflixにはプレミアムなCMコンテンツが似合う、つまり単価を高めたい
いま私はあえてNetflixを広告プランで見ている。現状は正直言って、まだ枠が埋まっていないようだ。広告プランに加入すると、動画の下のバーにオレンジ色のポチが出てくる。YouTubeでも最近目にするが、ここがCM枠なのだろうなと思う。1時間のドラマに数回入っているが、実際に見るのは1回程度だ。埋まっていないのだなとわかるわけだ。
韓国ドラマを見ていたら、「イカゲーム」の設定を借りて韓国の観光名所を紹介するディスティネーションCMが流れた。なるほど、こういうCMがNetflixには合うなとしっくりきた。コンテンツとCMの文脈ができていると、CMに違和感がない。
だがコンテンツと関係ない普通のCMも流れる。そんな時はしっくりこない感覚になる。日本のCMはテレビ局が作る番組と馴染むようにできているのかもしれない。だから逆に、Netflixの映画やドラマとはしっくりこないのだろう。
何度か紹介したが、Netflixはコンテンツに合わせて特別に制作されたCMを企業に売り込みたいのだと思う。↓ここに並ぶような、スペシャルなCMだ。
www.netflixmp.com (Netflixの広告事例のページ)
制作にもNetflixが関与するのかもしれない。そしてこうしたCMは制作費もかかるし枠の価格も高く設定したいだろう。
WBCはこうしたスペシャルなCMを制作し、高い枠として売るチャンスになる。米国のスーパーボウルでは毎年、その枠のためにだけ作られたCMが莫大な枠料金でオンエアされ、話題になる。WBCでも同様に、Netflixで流すスペシャルCMが話題になれば、恒例になる。そして、Netflix広告事業が大きく伸びるきっかけになる可能性もある。
現時点ではまだ何も決まっていないだろうが、これから半年ほどの間に、広告代理店とも力を合わせてNetflixならではのCMづくりを実現してもらいたいところだ。
WBCをきっかけにリーチ力が高まれば、テレビ広告市場を侵食する
ここまで書いたようなスペシャルなCMだけでは、テレビ広告市場を大きく侵すには至らないだろう。だがWBCが面白いのは、大谷推しの高齢女性がNetflixに3月までに押し寄せるだろうことだ。テレビ広告の場としてのNetflixを大きく変えるかもしれない。
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