ネットでは高市氏は好かれ、小泉氏は嫌われてる?〜マスコミ分析とまったく違う総裁選YouTube分析

2025年の自民党総裁戦もいよいよクライマックスだ。マスコミの分析では小泉進次郎氏の支持が高いようだ。もっとも「応援コメントステマ」の発覚でかなり支持を落としている。それを高市早苗氏が追う形だが、終盤で林芳正氏がぐんぐん追い上げている。
テレビや新聞が伝える情勢はそんなところだが、YouTubeを使う人々はどうなのか。10月2日にエビリー社が、分析ツールKamui TrackerによるYouTubeでの総裁選候補者の分析結果を発表した。それによると、YouTubeでの人気は高市氏が一番高いようだ。逆に人気が高いはずの小泉氏は逆に評判が良くない。具体的に見て行こう。
公式チャンネル分析では、高市氏が圧倒的優位

表:エビリー作成
各候補者の公式YouTubeチャンネルを比較した結果、「高市早苗チャンネル」は登録者数50.7万人、9月1日〜25日の期間中の総視聴回数322万回、エンゲージメント数(高評価・コメント数)20.8万件と、すべての指標でトップとなった。特に登録者数においては、他候補の10倍以上という圧倒的な規模を誇っている。
また、同期間における投稿本数も42本と、茂木敏充氏の40本と並び最多クラスであり、高市氏がYouTubeを活用した積極的な情報発信を行っていることがうかがえる。コメント数が多いのは動画本数、登録者数を考えると当然ではある。だが一本当たりのコメント数が4952というのは、まるで大人気YouTuberだ。一方、小泉進次郎氏の公式チャンネルは登録者数2.97万人で、投稿本数は8本にとどまっている。
若い小泉氏がYouTubeをあまり活用できていないのは意外に感じる。もう少し力をいれたほうがいいのではないかと言いたくなってしまう。
討論会コメント分析から見える「ネット民の本音」
候補者5名が登壇した2つの討論会をピックアップして、動画に寄せられたコメントを分析した結果では、興味深い傾向が浮かび上がった。コメントのポジティブな割合では林芳正氏(71%)と高市氏(70%)がほぼ同率でトップとなった。

グラフ:エビリー作成
一方、最も多くのコメント(166件)を集めたのは小泉氏だが、そのポジティブな評価は10%にとどまり、90%がネガティブなコメントという結果となった。小林鷹之氏は言及数は少ないものの、ポジティブなコメントの比率が63%と期待感が見られる。茂木氏は経験や実績を評価する声がある一方で、ポジティブ評価は40%、ネガティブ評価は60%という結果となった。
このデータには候補者のネット民の評価が如実に現れたと言えると思う。マスコミの記事やニュースでは高市氏はあまり評価されていない印象だ。逆に小泉氏はなんとなくだが評価されている気がする。ところがネットではその逆、小泉氏は嫌われていると言っていい。「ステマ投稿」の影響もあるだろう。ネット民がもっとも嫌う行為だ。
だがそもそも、小泉氏はネットでは好かれていないのではないか。高市氏には、強い熱量を持つ支持層がまちがいなくいる。数がどれだけ多いかは不明だが、このように討論会では支持するコメントが集まる。ネットには右寄りの人々が一定数いることにもよるだろうが、さっきの公式動画の投稿数を見ると、高市氏はネットを上手に活用できているとも言えそうだ。
関連動画分析で見る「二強構図」の実態
9月1日〜28日の間に投稿された、候補者のフルネームがタイトルに含まれる関連動画の分析からは、世間の関心が特定の候補者に集中している状況が浮き彫りになった。

表:エビリー作成
期間中に投稿された関連動画の本数は小泉氏が2,249本(期間中の総視聴回数:約2.5億回)、高市氏が1,851本(同:約2.3億回)と、他の3候補を大きく引き離している。さらに、動画1本あたりのエンゲージメント率では高市氏が4.4と最も高く、視聴者が高い熱量をもって反応していることがわかる。
一方、林氏(310本)、小林氏(238本)、茂木氏(196本)の関連動画数は相対的に少なく、視聴回数もそれぞれ約2,580万回、約1,000万回、約1,479万回にとどまっている。
何かと話題になりがちな小泉氏の関連動画が多いのは、至極当然ではある。エンゲージメント率では小泉氏は3.8と、高市氏よりやや低いが他の候補者よりは高い。人々の一般的な関心はこの2人に集まっていると見てよさそうだ。ただし、先ほどのコメントのネガポジ分析を見ると、小泉氏への関心はネガティブなものかもしれない。
こうして見ると、YouTubeというネットの代表的なプラットフォームで小泉氏が嫌われる傾向、高市氏が支持される傾向が見えた。だが総裁選の投票にネット民は関与できない。結果はどうなるだろう。
見えたのは、従来メディアとネット民意の大きな乖離
提携媒体
コラボ実績
提携媒体・コラボ実績
