自民党の調査会に呼ばれてしゃべった件について

年明けから考えはじめたことがある。私はこのMediaBorderを始めいろんな場でメディア業界の進化を訴えているわけだが、小さな場所で声を上げていても業界は変わらないと無力さを感じている。むなしい。そして還暦を過ぎた身として、世の中のために何かせねばと漠然と考えたりする。

業界誌や経済誌に書いたって変わらない。セミナーやっても具体は動かない。そこでふと考えた。政治の力を借りるべきではないか？

なにしろ業界は誰かが動こうとすると、近接するあっちの業界から茶々が入り、業界内でも細かなところで意見が分かれ、互いに頑なだったりする。ここは大同小異的に考えを広げ、大きな視点ではこうするべきなのだからとにかく次のステップへ、と誰かが旗を振り権力も行使しないと変わらないのではないか。それが、政治だ。政治とはイデオロギー云々より、相反する意見の調整が重要な役目なのだから。

とはいえ、政治家を動かすには何をどうすればいいのだろう、と考えあぐねていると、こんな記事を目にした。今年2月の朝日新聞で、NHKの今後について様々な人々に聞くインタビューのシリーズ記事だ。

簡単にまとめると、NHKも民放も力を合わせて今後の情報空間を健全に守るべきだというもので、そのためには民業圧迫の懸念を払拭せねばという主張だった。自民党の大岡敏孝議員で、情報通信戦略調査会という部会の事務局長を務めている。私の言いたいこととほとんど同じではないか、自民党にもそんな人がいるのかと感心した。

政治を動かすなら、この人にコンタクトするといいのではないかと調べたら、なんと高校が同じだった。私の方が10期上だ。「後輩じゃん！」

同級生から辿れば10期後輩にもたどり着くはずと聞いてみたら、仲のいい同級生があっさり「知ってるよ。最初に当選した時飲んだ。」と教えてくれた！鹿児島ラ・サール高校という九州の進学校だが、いい学校を出ておくものだと卒業して40年経って初めて母校に感謝した。

さっそく大岡議員にコンタクトを取り、3月初めにお会いした。「こんなことを政治家の皆さんに訴えたいんです」と説明したところ、意気投合。「では私が事務局を務める情報通信戦略調査会でしゃべってください！」と言ってくれたではないか。

「いま国会でちょっと揉めているのでそれが落ち着いてからですね。ご連絡します。」と言われ、それから待つこと３ヶ月近く、何の音沙汰もない。あれは高校の先輩へのリップサービスだったのかと、しびれを切らして5月末に事務所に電話したら秘書が出た。「ちょうどご連絡するところでした。6月13日の調査会でお話しいただきたいのですが」って、ホントかよ。

まあとにもかくにも、自民党の先生方の前で業界変革について主張する機会ができた。年明けに考えたことが半年ほどで実現したのはできすぎなくらいではないか。

6月13日、永田町の自民党本部ビルに行った。同級生から、「自民党の食堂のカレーがうまいらしい」と聞いたので食べた。まあ、うまいといえばうまかったかな。あらかじめ自民党の事務局に確認したのだが、調査会で話したことをブログなどに書くことは問題ないそうだ。ただ会議内での議員の発言は記載しないでほしいとのこと。実際、自民党のホームページに私が調査会に出ることは書かれている。これについては逆に、お名前載せていいですかと確認され、もちろんかまいませんとお答えした。だから私が情報通信戦略調査会で話すことは、公開情報なのだ。

↑そこにある通り、慶應大学の菊池尚人教授と一緒に1時間。後半30分は質疑の時間なのでひとり15分しか使えない。言いたいことを絞って絞ってしゃべった内容を、記しておこう。