LCB(Local Contents Bank)にはローカル局コンテンツの可能性しかない
Inter BEEで初めてお披露目されたLCB
先月から今月にかけて、INTER BEE BORDERLESSの各セッションをざっと紹介した。ただ、アーカイブを軸に紹介したのでそこから漏れたものがある。アーカイブがなかった、このセッションだ。
事前打ち合わせをレポートしたこの記事で、どんなセッションだったかがわかる。
北海道テレビ・阿久津友紀氏がLCBについて紹介し、二人のゲストから意見をもらう趣旨だったのだが、ここではそのLCBに絞って紹介したい。
LCBとはLocal Contents Bankの略。その名の通り、ローカル局のコンテンツを溜めておく仕組み。A-PAB(一般社団法人放送サービス高度化推進協会)による実証実験として行われる取り組みで、以下のプレスリリースが12月18日に発表されている。
BORDERLESSセッションでは、それをひと足お先に開陳し、A-PABの出展ブースでも展示されていた。
ローカルコンテンツを「串刺し」にできる仕組み
LCBを簡単に説明すると、ローカル局のコンテンツを溜めておき、いろんなキーワードで串刺しにして様々な配信サービス上に置くことができる、というもの。つまりLCB自体はユーザーに直接相対するサービスではない。溜めておいて他社サービスにニーズに合った形で提供できる仕組みなのだ。図を使ってもう少し詳しく説明しよう。
この図は実証実験の全体像を示している。左側がLCB。実験に参加する55局のローカル局が、街のネタやグルメ情報など主に夕方の情報番組のコーナー映像を切り出して放り込んでいく。
それを実験に協力するTVerやスカパーの配信サービスであるSPOOX、さらにGガイドに表示される見逃しボタンなどを通じて配信してもらう。ユーザーからすると、いつも使うサービスのUIからローカル局コンテンツに自然と接することになる。
「日本中のローカルコンテンツを整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」を目標に、12月23日つまり本日から来年3月2日まで実施される。
なんとなくわかってもらえたと思うが、「整理」というのが気になる。そして上の図の中にやたらとメザシの画像が登場している。どういうことか、さらに説明しよう。
メザシは何匹ものイワシが串刺しになっている。同じように複数の局の複数のコーナーを何らかのテーマで串刺しにして提供するのがこの実験だ。
たとえば、全国の味噌ラーメンの映像が見たい。九州のソースカツ丼のお店が知りたい。そんなオーダーに応えることができる。
すでに実証実験が始まっているTVerの例を見てもらおう。TVerのトップページに「全国ラーメン図鑑」のバナーが表示されている。
これを押すとこの画面に遷移する。
その中の「九州沖縄編~非豚骨系集めました~」を押せば「メザシ動画」が視聴できる→視聴はこちら