叩かれる一方だったフジテレビが、過去と決別する熱と決意をようやく見せた

4月30日、フジ・メディアHDが一度にたくさんのリリースを出した。いったい何がと思ってみたが、すでに報じられた通り金光修氏の退任がまずポイント。そして中身不明の特別損失で赤字になること。何かの資産の減損処理だと言う。経常利益では251億円の黒字なのに純利益で201億円の赤字。しかも有価証券の売却で183億円の特別利益もあるというのにだ。差し引きすると600億円を超える特別損失が出たことになる。何をどう減損処理したらそんな数字になるのだろう。だがそれより私が注目したのがこの書類の発表だ。
ここには改革への強い意志を感じた。ようやく深い反省と、それをなんとかしなければとの覚悟が見える内容だった。サブタイトルの「再生への誓い」という言葉にも本気を感じる。
「紙芝居会見」「10時間会見」とフジテレビは情けない姿を晒し、やっと3月27日に経営刷新を発表したものの31日の第三者委員会報告書で「ハラスメントが蔓延」していることが詳細な聞き取りを元にあらわになった。
4月17日にはSBIホールディングスの北尾吉孝会長が20年前から言われているテレビ局の課題を改革せよと突きつけ、言うこと聞かなきゃ5%の株を買うくらいわけはないと脅迫した。金光氏は3月27日の役員案は最終ではないと、脅しに負けたとも取れる発言をした。
フジテレビは防戦一方で、これからどうするのかの意志がまるで見えなかった。殴られ続けるだけのサンドバッグ状態で、このまま倒れるかと思えた。
「8つの具体的強化策」は初めてフジテレビが打った一撃だと思う。これで一気に攻勢に転じるものでもないが、何かをしようとする、反撃の意志がようやく見えた。
8つの具体策は大きく2つに分かれる。
「人権・コンプライアンス意識向上・体制強化」として挙げられた4つの策が以下だ。
1:人権ファーストを徹底する仕組みを作ります
2:人権侵害、ハラスメント被害者を守り抜きます
3:コンプライアンス違反への厳正な処分を行います
4:危機・リスクを減らす仕組みを導入します
そして「ガバナンス改革・組織改革」の4つの策がこれ。
5:編成・バラエティ部門を解体・再編 アナウンス室を独立へ
6:役員指名の客観性・多様性・透明性を確保します
7:女性比率UPと若手登用で多様性を実現します
8:公共性と責任を再認識し、企業理念を見直します
前半の4つは人権意識とコンプライアンスが問われていることに対する策で、当然なすべきことが書かれている。興味深いのは後ろの4項目だ。
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