メディアの経営陣を労働組合が動かす時が来ている
民放労連が女性役員3割を求める署名活動を
民放労連(日本民間放送労働組合連合会)が署名活動を立ち上げた。放送局の女性役員の割合を3割に引き上げることを求める趣旨だ。署名サイトChange.orgにこのようなページができている。
今回の署名活動には、これまでと違う意味合いもある。もちろん、「フジテレビ問題」だ。何と言っても、1月27日の「10時間会見」では前に並んだ5名のうち3名が70代男性。これほどテレビ局が「オールドボーイズクラブ」で経営されていることを示す絵もないだろう。
男性だらけだということ、男性だらけで女性に対するトラブルを処理していたこと、そしてオールドメディアの危機が言われて久しいことなどについての強烈な危機感が署名活動のモチベーションになっている。書名サイトにかかれた小見出し「今変わらなければ、この先変わるチャンスは二度と訪れないかもしれない」からもその危機感の強さが感じられる。テレビ局のビジネス上でも、「テレビ局ってやっぱりおじいちゃんたちが経営してるんだな」とのイメージになったのはきわめてマイナスだろう。ただでさえオールドメディア呼ばわりされていることを追認してしまっている。女性がいるべきだし、若返りも図るべきだ。
強引に数合わせすることに異論を唱える人もいると思うが、あそこまでの「オールドボーイズ」になった状況には、「とにかく3割を女性にする」ことが一定の効果を生むと私は考える。そのことは前に書いたのでぜひ読んでもらいたい。
簡単に言えば、強引に役員構成を変えたほうがいいくらい、テレビ業界は危機にある、ということだ。
フジテレビ問題に労働組合が意見書を出した意義
この署名活動の前に、今回のフジテレビ問題に対して労働組合が意見書を経営陣に出したことも意義が大きいと思う。組合員の数も一気に増えたことも報じられた。
人数が何百人も増えたということは、これまでは逆に組合員比率が高くはなかったということだろう。これは至極当然と思う。労働組合とは過去のものになりかけていたかもしれない。
私も30年前までは会社員だった。広告会社で業界は少し違うが、いわゆるマスコミ企業と労働組合はなじまないように感じていた。当時でさえ、過去のものに思えた。
だがいま、一周まわって労働組合の存在意義は高まっているかもしれない。長らく組合は賃金闘争が主目的だったように思う。もちろんそれは今も重要だし、賃上げが全業界で進んでいる中、最優先すべき課題ではある。
だがフジテレビへの意見書提出は、賃金闘争とはまったく別の「闘い方」を示したと思う。労働組合は、経営についてものを言ってもいいのだ。この当たり前のことを、フジテレビの組合があらためて業界に示した。その意義は非常に大きいのではないか。
組合には経営陣より未来を見つめる理由がある
実は先日、民放労連のある地連にお招きいただき講演した。その時、組合参加者は経営陣よりよほど放送局の未来への危機感を持っていることを感じた。そして、その危機感には勢いと元気があった。
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