王様の狙いはローカル局で、フジテレビはその実験場らしい

5月9日の会見で、北尾氏のフジテレビ熱は後退した?
SBIホールディングスの会長兼社長、北尾吉孝氏の4月17日の会見は世間を騒がせた。本ニュースレターでも以下のように少々茶化す感じで記事にした。
会見の態度があまりに傲慢だったのと、フジテレビへの改革案が20年前から言われてきたことだったので、私に限らず批判的な記事が多かった。「大人げなかった」と言ってもいいだろう。
その北尾氏が5月9日にまた会見を開いた。前回の会見は取材の申し込みが多かったためイレギュラーに行われたものだったが、今回はSBIホールディングスの決算説明会。通常運転の会見だ。
3時間もの長い会見は当然、金融企業としての実績と今後のビジョンを語る内容が中心だ。どうしてもフジテレビについての発言を期待してしまうし、その目的で会見場に来た記者も多かったようだ。だがフジテレビについての発言はごく一部だった。
ただ、今後のビジョンのてんこ盛りの内容を語る中で、メディアについてのパートは要注目だった。4月の会見でも「メディアと金融の融合」について触れていたが、もっと詳しく戦略を語っていた。「ネオメディア生態系」と今回初めて名付けていたが、これは今年に入ってあちこちで語ってきた「メディアとIT、金融の融合」を明確なネーミングで示したものだ。この「ネオメディア生態系」にとって「地方紙とローカル局+地域金融」が核の一つで、考え方がしっかりしている。フジテレビの件は、ある意味そのついでといった扱いなのだなと理解できた。
会見の内容をChatGPTとClaudeの両方に分析させたが、共に「フジテレビはメディア戦略の実験場」だと回答した。「実験場」という言葉を2つの生成AIの両方が使ったのが面白い。今回の会見ではそれくらい、フジテレビの扱いが軽かったのだ。
ただ、だったらなぜ4月の会見ではあれほどヒートアップしていたのかとの疑念は残る。明らかに異様な熱が入っていたからこそ、各メディアが半分面白がって記事にしたのだ。
評判が悪かったからフジテレビへの熱が後退したのではと言いたくなる。だが確かに、今回の会見で「ネオメディア生態系」を知ると、フジテレビはあんまり関係ないと思ってしまう。生成AIが言う「実験場」は、適切な表現かもしれない。
SBIはローカル局のステーショングループを目指す?
決算説明会の資料は実に172ページにも及ぶが、その中で「ネオメディア生態系」については107ページから126ページの19ページに過ぎない。本業の金融業の”ついでに”考えたパートの位置づけなのは明白だ。前半の116ページまでは海外でのメディアと金融の融合事例が並ぶ。欧米でこうなってるのならいずれ日本でも、ということだろう。なぜSBIグループがネオメディア生態系の構築に挑むのか。それは豊富な金融データと5442万の顧客基盤があるからだそうだ。ネオメディア生態系の概要は以下だ。
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