紅白歌合戦2025の視聴率が上がったのは、民放が下がっただけ

2026年2つ目の記事も紅白ネタです
境 治 2026.01.04
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画像は「紅白歌合戦2025」のオープニングを画面キャプチャーし加工

画像は「紅白歌合戦2025」のオープニングを画面キャプチャーし加工

テレビ離れの時代に上がった紅白の視聴率

新年2つ目に、またもや紅白ネタをの記事を書いてしまう。2025年大晦日の紅白歌合戦の視聴率が上がったと話題になっている。

テレビ離れが進む中、テレビ文化の象徴のような番組が、視聴率が上がるとは不思議に思った。スポーツ紙は世帯視聴率をいまだに見出しにするが、個人視聴率でも当然ながら上がっていた。

世帯視聴率が35.2%と聞いて「日本人の3分の1が見たのか!」と解釈しがちだが、そうではない。エリア人口の何%かを示すのが個人視聴率で、この数値は関東圏のものだ。それが26.4%だったのだから「関東在住者の4分の1が見た」と受け止めるべきだ。

特に後半の第2部での変化が大きい。世帯では2.5%アップだったが、個人視聴率では3.0%も上がっている。これは大きな差だ。テレビ離れはどうなったのか?

出場歌手を調べたりしたが、2025年は矢沢永吉のサプライズに惹きつけられたものの、2024年もB'zが登場して大いに沸いた。今年の内容のどこに3.0%も上がるポイントがあったのだろう。むしろ司会者のトークに間が開いて白けた場面が目立ったのに。

紅白が良かったからではなく、民放の失点では?

視点を変えて、大晦日の他局の番組を調べれば、2024年と2025年で何か違いが見えてくるかもしれない。

そこで、視聴率分析ツール・TVALを使って違いを調べてみた。TVALのデータはビデオリサーチとは調査パネルが別なので数字が違ってくる。だからまず、紅白歌合戦の視聴率を比べてみた。

TVALでは第1部と第2部を通した数値が出てきて、上のようになった。その差異は1.9%だ。ビデオリサーチの数値より小さいが、やはり上がっている。民放の2024年と2025年の番組を調べると、テレビ朝日は「ザワつく!大晦日」、TBSも「大晦日オールスター体育祭」、テレビ東京も「年忘れにっぽんの歌」から「孤独のグルメ大晦日スペシャル」への流れで、3局ともほぼ同じ番組だった。視聴率もそれぞれわずかに下がっているがほとんど変わらない。

ところが、残りの2つの局は大きく番組を変えていた。まず日本テレビは2024年の大晦日に「ぐるぐるナインティナイン」の特番を放送した。ところが2025年は「ヒロミの大晦日リホーム」に変更している。

日本テレビは2020年を最後に「笑ってはいけない」シリーズの大晦日の放送を終了したのち、次の一手が定まらない。昨年せっかく「ぐるナイ」の特番でいい数字を出したものの、別の企画に変更して視聴率を落としていたのだ。

またフジテレビも昨年は大ヒット映画「ザ・スーパーマリオ・ブラザーズ」で若年層から中年まで視聴率を獲得できたが、今年も同じと言うわけにはいかない。そこで「新しいカギ」の2本立ての編成で挑んだ。

中高生と芸人たちが一緒に遊ぶ企画で、チャイルドからティーンに絞り込んだ編成となった。高齢層の視聴が強く反映される個人視聴率は下がったが、それは覚悟の上だっただろう。

紅白をだらだら眺める大晦日、民放にはもう期待しない

さて以上から明らかなように、紅白の視聴率が上がったのは、日テレとフジの大晦日特番の視聴率の減少分を吸収したからだ。NHKの本部長氏には申し訳ないが、スタッフの想いはあまり関係ないようだ。

私もずっと紅白を”ながら見”し、他の番組へのザッピングはほとんどしなかった。「笑ってはいけない」が終了したいま、民放の大晦日の番組にもはや期待していないのだ。紅白を流しておき、家族と話したりスマホをいじったりしていた。それで前回記事にした19時56分の視聴率ダウンにも気づいたのだ。

「他に見るものないから紅白でもつけとくか」という時代になったのだと思う。今年はどの番組が面白いかなあ、とザッピングしていたのは過去の話だ。そしてテレビ離れも続いている。

2局の減少分と紅白の上昇分をプラスマイナスするとマイナス、つまり全体としては減少している。他局もわずかずつ減少していたので、地上波放送全体の視聴率としては結局下がっているのだ。

あくまでTVALのデータだが、おそらくビデオリサーチの数字でも傾向は同じだろう。紅白の視聴率が上がったと聞いて、テレビ離れが踊り場に至ったのかと思ったが、そういうことではなかった。テレビ業界の危機は、今年もっと拍車がかかるだろう。

いまだに世帯視聴率で語るスポーツ紙の印象論批評の薄っぺらさ

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